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桐原ナツキ

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アイドルマスター XENOGLOSSIA(全話)
σのヮの「プロデューサーさん! 巨大ロボですよ、巨大ロボ!」

 全話見ました。
 結論から言うと、「佳作になった可能性のある作品」でした。おもしろかったし、オリジナリティもあるし、見るべきところもあるけど、トータルとして見た時にどうしてもまとまりなく見えてしまう、非常にもったいない作品だったと思います。
 そもそもの成立が「『アイドルマスター』のキャラで別物のアニメを作る」という、もう、どう考えても成功しない企画から始まっているのですが、その割に、見た人間からは(常に「『アイマス』と関係ない」という枕詞を伴いながらも)「結構おもしろい」という感想を聞くことができ、そうした一定の評価を得ることのできる作品であるとも思えました。

 続きを格納しておきます。
少女と巨大ロボットの不条理恋愛劇
 この作品のモチーフ(※)は、「少女が巨大ロボットと恋愛する」というものです。この一言だけでも、シンプルかつオリジナリティのある作品だとわかります。

※モチーフ:「どんな話か」を一文で表現したもの

 主人公である天海春香は、隕石破砕用の巨大ロボット『インベル』に出会い、恋に落ちます。インベルも明らかに春香に対して恋をしています。
 このひとりと一体がどうして恋に落ちたのか、明確なきっかけは描かれていませんが、とにかく恋に落ちます。恋に落ちる理由など、この作品にとってはどうでもいいことです。ふたりは隕石破砕の仕事を通じて、どんどんその恋を育んでいくのです。
 この、インベルを初めとする、iDOLと呼ばれる巨大ロボット群は、自律して思考することができます。インベルとの恋愛にのめり込む春香に対し、「iDOLには心がありやなしや」という議論を同僚や上司に吹っかけられることもしばしばです。iDOLは単なる反応として、偶然「心がある」行動をしているだけではないのか、と。
 この『未來のイヴ』的な哲学的問いに対し、春香はほぼ迷いなく答えます。
「iDOLに心はあります」
 狂信にも近い無根拠なこの答えこそが、この作品の不条理であり、最大の魅力です。
 春香の恋愛感情は、素直な少女のものですが、その向けられる先がなぜか巨大ロボット。諸星大二郎の不条理短篇集の方がお似合いの、この物語を大真面目に展開しているのです。これが猛烈におもしろいのです。
 視聴者は恋愛感情に感情移入しつつも、その対象の不条理性によって感情を切り離されます。その結果、春香は得体の知れない怪物となって、視聴者の想像の外で暴れまわることとなるのです。

 さらに、同僚である水瀬伊織は、春香と同様「iDOLに心がある」と主張し、途中で仲間になる双海亜美は、音楽を通じiDOLと会話することさえできます。
 敵となる如月千早に到っては、恋愛感情が行きすぎ、「インベルと一体化したい」とまで考えており、現在のiDOLマスター(=パイロット)……というより『インベルの現在の彼女』である春香に対し、殺意までも覚えます。

 一方、こうした『iDOLへの愛』という狂気に呑まれていないiDOLマスターもいます。菊地真は、iDOLを「ただの道具」だと言い放ちますが、直後、乗機ネーブラから「嫌われ」、マスターの座を伊織に譲り渡します。
 それでも真は懸命に「iDOLはただの道具」との主張を続けますが、春香たちに取り囲まれ、「iDOLに心はある」と言われ続ける様子は、カルト教団における洗脳のようです。
 しかも真の主張の動機は、「iDOLが道具である」という思考自体への信念に基づくものではなく、真が姉と慕っている三浦あずさがiDOLを操縦できなくなったことに対しての逆恨みであったということが明らかになります。
 最終的に真は、iDOLへのわだかまりをなくし、iDOLに心があると考えるようになります。なんだかすごい話ですね。

iDOLに翻弄された人々
 しかし、「少女の恋愛」と「不条理なシチュエーション」の物語は、後半に入ると、だいぶ変化してきます。主軸が「少女と巨大ロボットの恋愛」から、「iDOLに翻弄された人々」にシフトしてくるのです。
 具体的には第18話にインベルが千早に奪われて以降、以下のようなエピソードが展開されます。

・モンデンキント上部組織『グランドロッジ』&朔響の暗躍
 グランドロッジは、iDOLがそろうとよくないことが起こるらしいので、iDOLを破壊したいと考えています。

・敵組織『トゥリアビータ』成立裏話&三浦あずさの暗躍
 トゥリアビータは、iDOLをそろえて自分たちの願いをかなえたいと考えています。

 主軸が移行すること自体は問題ではありません。それらが第18話までの主軸であった「少女と巨大ロボットの恋愛」に帰結するなりなんなり、とにかくなんとかまとまるようになればいいだけの話です。
 が、この作品の問題点は、「iDOLに翻弄された人々」という軸が、「少女と巨大ロボットの恋愛」と関わりなければ、最終話の展開に関係するわけでもないことです。
 現に、グランドロッジと朔響、トゥリアビータと三浦あずさは第23話の段階で退場し、それまでの流れが第24、25話における春香vs千早&雪歩になにも関係していないのです。
 グランドロッジにとってもトゥリアビータにとっても、iDOLとは『アウリン』なる謎の現象を引き起こすだけの存在でしかありません。そのため、両組織はiDOLという存在によって翻弄され続け、悲劇を引き起こしてきました。
 が、当のiDOLマスターたちにとって、iDOLは恋人であり、彼女たちはiDOLによって翻弄されることはありません。春香と千早の間で展開されるのは、「インベルという個人を挟んだ三角関係」なのです。

 「少女と巨大ロボットの恋愛」と「iDOLに翻弄された人々」というふたつのプロットは、最後まで交わりませんでした。
 物語は、第22-23話において、「iDOLに翻弄された人々」というプロットを動かしていたトゥリアビータの首魁カラスと三浦あずさを壁で押し潰し、クローン少女のリファを無慈悲に撃ち殺し、グランドロッジのメンバーを二秒で虐殺すると、彼らの存在など最初からなかったかのように、春香と千早とインベルの三角関係へと戻っていくのでした。
 このふたつのプロットが、きちんと絡まるように作っておくか、「少女と巨大ロボットの恋愛」の物語に終始していたなら、佳作として評価できたと思います。

 なお、最終話では、第25話までの流れすらもなかったこととなり、千早抜きの、「春香とインベルの恋愛物語」としてのラストを迎えます。それでいいのか……。

設定の未整理
 設定的には、豊富なマクガフィンを中途半端に説明したりしなかったり、なんだかよくわからないまま、とりあえず世界が平和になっていました。
 不条理モノだった序盤なら、説明しなくてもよかったのですが、中盤から、設定を基盤にした政治劇にヘタに足を突っ込んでしまったため、解決すべき設定・謎が未整理のままになってしまったような気がします。
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[2011/11/15 09:08] | アイドルマスター |
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