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桐原ナツキ

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マルドゥク
 木星の神。知恵の神エアの息子であり、ティアマトの孫に当たる。ティアマトはマルドゥクを滅ぼそうと軍勢を送り込んだが、逆に倒されてしまう。
 マルドゥクはティアマトの体を裂き、世界を作った。『ベール(王)』の美称を与えられる。
 配偶神はザルパニトゥ(サルパニト、サルパニトゥム?)、金星の女神。『ベールティア(女王)』の美称を与えられる。

 以上、ネット資料でした。
(疑問点)
なぜティアマトは孫であるマルドゥクを倒そうとしたのか?
 別のネット資料では、「冒険心の強いマルドゥークは風を皮ひもでつないで支配したり、神々の住居を守護するドラゴンに口枷をはめたりとイタズラを繰り返した。神々の不満から、最も古い神ティアマトはマルドゥークを倒すことにした」とある(幻想世界神話辞典より引用)。
 アマテラスはスサノオのイタズラで天岩戸に引きこもってしまいましたが、このあたり、バビロニアの神様はパワフルですね(笑)

メソポタミアの金星の女神といえばイシュタルではないのか?
 ザルパニトゥの資料は少なく、イシュタルの異称と考えるべきでしょうか? しかし、イシュタルにはタンムーズというれっきとした配偶神がいるのです。

 ペトラ・アイゼレ『バビロニア』(アリアドネ企画)には、以下の記述がありました。少し長くなりますが、引用します。

「たとえばマルドゥクは、シュメール時代には地方的に限定された意味しか持たなかったが、ハンムラビの石碑では法律集の前文と結語の目立つ場所でその名が挙げられるようになり、またネブカドネザルの時代にはバビロンの神──バビロンはシュメール時代には取るに足らぬ場所であった──はバビロニアの最高神にのし上がったが、このことは、地上の最高位の神々に著しく政治的な影響が及ぼされることを明らかに示している」(218頁)

「強く賢くそして怖れられた神々(※マルドゥク以前の神々)も、そのいずれもが新バビロニア時代には自らの地位を主張することはできなかった。それは、ネブカドネザルがその都を、他のあらゆる都市よりも美しく、そして大きくしたばかりではなく、自らの神を、これまで非常に多くの神に分け与えられていたすべての特性と能力を備えた最高神マルドゥク唯一に任じたからである」(228頁、※印は引用者)

 つまり、この本によれば、マイナーな神であったマルドゥクは、ハンムラビとネブカドネザルによって主神に押し上げられたのです。

 ジャン・ボッテロ『バビロニア』(創元社)によると、「前2千年紀の終わり頃には、エンキ(エア)の息子でバビロンの主神であるマルドゥクが、エンリルの後を継いで神々の王となったが、その地位もしばらくすると息子ナブーのために危うくなった」(119頁)とあります。
 神々の政争(=民衆の信仰対象の移り変わりと、権力者の都合)により、メソポタミアの主神の地位も移り変わっていったのでしょう。

 ちなみに、某同人ノベルで有名になった(笑)ギルガメッシュ王は、「紀元前2600年頃のシュメール都市国家ウルクの王」(神話への門より引用……現在404)で、『ギルガメッシュ叙事詩』は、「実在する最古の写本は、アッシリア語(アッカド語アッシリア方言)で書かれた紀元前8世紀のものだが、物語の成立はさらに古いと考えられ、紀元前2000年ごろには既に原型ができていたという説もあり、原典は異なる言語で書かれていた可能性もある」(Wikipedia「ギルガメッシュ叙事詩」の項より引用)。
 ティアマトについての記述がある『エヌマ・エリシュ』は、紀元前1000年頃(『バビロニア』アリアドネ企画、250頁より)のものとされているらしいです。

紀元前2000年……『ギルガメッシュ叙事詩』
 ギルガメッシュとイシュタルについて
紀元前1000年……『エヌマ・エリシュ』
 マルドゥクとティアマトについて

 簡単な年表にすると、このようになります。この年表は、あくまで話をすっきりさせるための目安ですので、鵜呑みにはしないでくださいね。
 ついでに『神話への門』からメソポタミア年表を。

BC3000年頃~      シュメール文明
BC2350年頃~BC2150年頃 アッカド文明
BC1792年頃~BC1750年頃 古バビロニア文明
BC2500年頃~BC 612年頃 アッシュール文明
BC 625年頃~BC 539年頃 新バビロニア文明

 しかし、どうも、マルドゥクの時代にも、イシュタル信仰は衰えたとはいえ、継続的に信仰されていたようです。となると、ザルパニトゥは何者なんでしょう? ここからは完全な推論です。
 権力者の見地から考えると、それまで隆盛していたイシュタル信仰を、なんとか抑えつけたかった。だからイシュタルと同存在のザルパニトゥを作り上げ、さらにマルドゥクの配偶神とすることで、「イシュタルはマルドゥクより上なんだぞ!」としたわけです。が、イシュタル信仰の強さは予想以上で、逆にザルパニトゥがなんだかよくわからない神様になってしまったのでしょう。
 物語作家の見地から考えると、さらに話はすっきりします。ザルパニトゥのキャラ立てに失敗したんです(笑) 当時にSRCのシナリオライターがいたら、「キャラかぶってるし、ザルパニのエピソードをイシュタルにまとめちゃおーぜ」とでも言ったんでしょうね(笑)

 こうしてザルパニトゥは、キャラ立ても満足にできないまま、歴史の闇に消えていったのでした……。


 次は、フェードアウト疑惑の強いイザナミについて考えてみましょう。
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[2006/07/16 15:27] | 魔術 |
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