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桐原ナツキ

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イザナミ失踪事件
 図書館で以下の5冊を借りてきました。

三浦佑之『口語訳 古事記[完全版]』(文藝春秋 2002)
宇治谷孟『全現代語訳 日本書紀』上下(講談社学術文庫 1988)
板坂壽一『やさしく読み解く はじめての古事記』(日本文芸社 1995)
神野志隆光・大庭みな子『新潮古典文学アルバム1 古事記・日本書紀』(新潮社 1991)

 さっそく『口語訳 古事記』を手にとってみると、冒頭からはっちゃけてますよ!

「なにもなかったのじゃ……、言葉で言いあらわせるものは、なにも。あったのは、そうさな、うずまきみたいなものだったかいのう。
 この老いぼれはなにも聞いてはおらぬし、見てもおらぬでのう。知っておるのは、天(あめ)と地(つち)が出来てからのことじゃ……」(16頁)

 なんですか、このキャラづけ(笑) あわててまえがきを見ると、こうありました。

「わたしは、この本にひとりの古老を登場させ、古老の語りによって『ふること(古事)』を再現しました。……」(9頁)

 オリキャラ勝手に登場させるなよ! シャルロットかウィルナかって感じですね、いやはや。……あ、SRW-REもウィルナデロイアリポートも好きですよ(笑)。
 なんだか不安になってきましたが、記述を全面的に信頼するという前提で、ともかく読んでみました(記紀両方とも、原書が図書館になかったんだよう)。以前にも述べたように、知りたかったのは、「イザナミはどこへ行ったのか?」ということです。



 皆さんご存じの通り、イザナギは死んだイザナミを追って黄泉へと参りますが、そこで妻の化け物じみた姿を目撃してしまいます。怒ったイザナミはイザナギに襲いかかりますが、イザナギは大岩で黄泉比良坂をふさぐことで逃げ切るわけです(註1)。
 このエピソードから、イザナミはヨモツオホカミ(黄泉大神……黄泉の主)の名で呼ばれることになります。

註1……このイザナミチェイスの前に、有名なヨモツシコメのエピソードが挿入されます。

 さて、時は下り、イザナギからアマテラスとスサノオが生まれました(註2)。スサノオは、「妣(はは)の国である根の堅州の国に罷り行かんことを願っているのです」(35頁)、つまり「ママに会いに行きたい!」と泣きわめき続けました(註3)。
 父子家庭で心がすさんでいたのかは知りませんが、家庭内暴力に明け暮れたスサノオは、しっかり者のお姉さんアマテラスでも匙を投げるほどでした(註4)。アマテラスはスサノオを天から追放してしまいます。
 追放されたスサノオは、出雲国でヤマタノオロチを討伐し、クシナダヒメを娶り、出雲国の須賀という場所に住居を構えたのでした。

註2……ツクヨミという神様もおり、合わせて「三貴子」と呼ばれますが、ツクヨミは影が薄く、たいしたエピソードがありません。「3」という数合わせのために作られたと考えるのが妥当だと思います。
 なお、『エテミブル』では黄泉国の主でラスボスでした(誰も聞いてないって?)。
註3……「母の国」と言っていますが、スサノオはイザナギの禊ぎから生まれたのであり、正確にはイザナミの息子ではありません。
註4……天岩戸のエピソードがここに入ります。

 スサノオの子孫の中に、オホナムチという神様がいます。この神様、女性問題のせいで兄弟から嫉妬され、殺されそうになりますが、母親の手により、オホナムチは根の国へと逃げることに成功しました(註5)。
 そこでオホナムチは、根の国の主となったスサノオと出会い、その娘スセリヒメに一目惚れするわけです(註6)。

 さて、この本の語り部である謎の古老さま(つまり著者ね)は、スサノオが根の国の主となったことについて、「いかなるいきさつがあったものか、この老いぼれ、なにも聞いてはおらぬのじゃ」と開き直っています。
 根の国が「母の国」となっているのですから、根の国=黄泉と考えるのが妥当でしょう。結局、イザナミはフェードアウトしてしまったのですね。

註5……オホナムチが美人のヤガミヒメのハートを射止めてしまったため、他の兄弟からブーイングが出たのです。
註6……オホナムチはスセリヒメの力を借り、見事スサノオからスセリヒメを略奪することに成功します。以来、オホナムチはオホクニヌシと名を変え、地上を治めるのです。



 以上、『口語訳 古事記』を読んでみましたが、新たな謎が生まれました。なぜ、イザナミはフェードアウトしてしまったのでしょう?(それより謎の古老の正体が気になるって? 私もだ)
 もちろん口伝をまとめたものなので、「編纂者が適当にまとめたせいだ」と結論づけることも可能ですが、気になるものは気になります。そこで、古事記と補完関係にある『日本書紀』を参照してみることにしました。

 ところで私、『日本書紀』読むの初めてなんですよね(とはいえ、『全現代語訳 日本書紀』も原書じゃないけど)。
 神様の物語に関しては、だいたい似たような内容ですが、『日本書紀』には外典の記述が豊富なため、こういう考察をするには絶好の資料であるようです。気になるスサノオについても、いろいろ異説がありました。
 一番答えに近そうなのが、「スサノオはイザナミが死ぬ前に生まれた」という記述です。この説によれば、スサノオは家庭内暴力に明け暮れたため、両親から、「もしお前がこの国を治めたとしたら、きっとそこないやぶることが多いだろう。だからお前は大へん遠い根の国を治めなさい」と告げられたのです(『全現代語訳 日本書紀』上巻24頁)。
 この話のあとにも、やはりイザナミはヒノカグツチを生んだあとに死んでしまい、古事記同様のエピソードが続きますので、根の国≠黄泉ということになるわけです。

 こう考えてみると、むしろ『古事記』における、「妣(はは)の国である根の堅州の国に罷り行かんことを願っているのです」という一節が怪しい気もしてきます。
 もしかしたら、このセリフにおいて、根の国と黄泉が取り違われた可能性も有り得るのです。「根の国」とは地下世界のほのめかしでしょうから、地下世界=地獄と結びついてしまったのかもしれません。

 イザナミ問題はひとまず解決しましたが、日本書紀の異説もなかなかおもしろいですね~。
 例えば、ツクヨミは「月読尊」と書きますが、外典のひとつにおいて、アマテラスは「オオヒルメノミコト」、そしてツクヨミは「ツクユミノミコト(月弓尊)」と呼ばれているのです。「月弓」といえばアルテミスじゃないですか!
 ……え? 三日月が弓に見えたんだろうって? まったく夢のない奴だな、君は。
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[2006/07/16 21:38] | 魔術 |
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